2023/01/02

 

 

 年末年始は仕事だった。電車やバスは空いていて、いつもよりスムーズでストレスのない通勤だった。大晦日の日は仕事が終わった後、新宿で映画納めをしようと思ったけれど、思いがけず残業だったので諦めた。大晦日の夜に無断離院か、と苦笑いしながらさあ夜はどう過ごそうかと帰り道をとぼとぼ歩いた。 

 人が休んでいる土日祝日に働くのは嫌いじゃない。その分平日に休めるし、カフェや喫茶店が空いているのは平日だからだ。また年末年始もそれなりの手当が出されるし、誰も望まないだろうと思って志願した勤務日程だった。同業の親友も大晦日の夜は夜勤。映画は諦めたので、よく行く恵比寿のバーでオーナーと常連とお酒を飲んで、用意してもらった年越し蕎麦を食べた。ロックで飲んだシャルトリューズは思いのほか疲れた身体によく染みて、アルコールがよくまわった。店を出たのは日付が変わり、元日になった深夜だったにも関わらず、大晦日の終日運転で帰りの電車はとても混んでいた。自宅に到着し、眠る準備を済ませて慌ててベッドに入った時には3時近くだった。年末感は一切感じない大晦日だったけれど、それなりに楽しく過ごせたと思う。

 ストロングやウイスキーなど次々とお酒を身体に流し込み、泥酔していた大晦日の夜は何年前だったっけ。ワインを1本飲みきった後に気絶するように眠り、目が覚めた時には頭痛と嘔気で身体は重く、這いずるようにしてやっとトイレに辿り着き一気に吐いた元日の朝。21歳くらいだったと思う。お酒を飲む量はぐんと減ったし、過食後に嘔吐することも無くなった。色んな課題はあるけれど、前よりかは生きやすくなった気もする。というかそうであってほしい。

 思い出す。患者が言った、大事なのは'シンプルな生活を繰り返すこと'という言葉。なかなか気に入っていて、足場が崩れそうになった時に思い出してはハッとすることがある。シンプルな生活を繰り返す。今年の目標かもしれない。欲を出すなら、やりたいことをやるとかやりたくないことをやらないという発想がまるでなく、保守的で現実的な私は、今年はやりたいことをやってみる年にしたい。